走り出したら止まらないぜ

ただの日記です、ベイベー

「ぼんぼん」

ニイタカヤマです。
小説の紹介です。

ぼんぼん (岩波少年文庫)

ぼんぼん (岩波少年文庫)

長編の児童文学です。
主人公の小学生の少年の昭和16年から終戦までのお話です。大阪が舞台です。セリフの大阪弁が柔らかく物語を包みます。
ただし物語の初めに芽生えた戦争の影がどんどん大きくなってお話を覆っていきます。

主人公は船場のええしのぼん(いいとこのおぼっちゃん)です。物語の序盤でお父さんが亡くなります。
お嬢様育ちのお母さんと主人公の男の子、中学生で気が強く頼り甲斐のあるおにいちゃんの戦時下での日々の生活が生き生きと描かれていきます。

色んな出会いと別れ、淡い恋や学校生活、疎開先での出来事、キラキラとみずみずしく描かれています。
昭和の大阪の街や疎開先での風景も丁寧にそして印象深く表現されていて、長編ですが飽きることなく読めます。

どこか爽やかな小説です。
だけれども舞台は戦時下なのです。


戦争というものが、じわじわと一般市民の生活を侵食していく事の厳しさ辛さに心が痛みます。 だけど、この主人公はそんな中でも明るく生きていきます。

戦時中が舞台なのでそこになんらかの思想的なものがもちろんあるのでしょうが、この作品はあまり強烈なメッセージ性は感じずに読む事ができました。

先の大東亜戦争に関しては様々な解釈、意見があるでしょうが、歴史というものはどこかを切り取って全てがわかるものでは無いと思います。
そしてこの物語のように、戦争が人々に重くのしかかっていった時代が、本当にあったんだという事は決して忘れてはいけないと思います。


八月を前にこんな本を紹介してみました。