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「We Love Television?」映画レビュー

We Love Television?
土屋敏男監督 2017作品

We Love Television?

We Love Television?

  • 土屋敏男
  • 日本映画
  • ¥2000

ニイタカヤマです。
さ、映画の紹介です。
マイナーです。
いつもならあらすじなんて紹介しませんが、今回はちょっと特殊な映画なのでざっと説明をしときます。え?いつもあらすじを書け?ごもっとも!

さ、そんな事よりあらすじです。

電波少年のディレクターだった土屋敏男が萩本欽一を訪れ、視聴率30%超えの番組を作りましょう、と提案し、2人による新たな番組作りがスタートするんです。
そんな76歳の大御所、萩本欽一独自のテレビ作りを記録していくドキュメンタリー映画です。


ドキュメンタリーとしては秀逸な作りです。
普通に追いかけるカメラとは別に、欽ちゃんにハンディカメラを渡します。
セルフでとってもらうことで欽ちゃんの本音を引き出します。ただこの部分、いわゆるセルフィです。絵面としては76歳の欽ちゃんのアップです。映画館で見なくて本当に良かったです…

テーマとしてはかつての視聴率100%男の萩本欽一をして今の時代に30%超えのバラエティを生み出せるか、という事です。
結論から言うとできませんでした。
8%にとどまりました。


欽ちゃんのアイデアも、この映画の冒頭で欽ちゃん自身が過去の成功体験にすがらないと明言してたのですが、生み出された番組は結局欽ドコや欽ドンの焼き直し的な物でした。
ちょっとがっかりします。
敢えて言うと、河本準一の凄さが光っていたくらいです。


しかしこの映画の一番の見どころはそんな所じゃないんです。
欽ちゃんのテレビにおける笑いづくりへの並々ならなぬ情熱、これなんです!

半端ないです。
この作品、ドキュメンタリーゆえ普通の映画のような作り上げられたドラマ性はありません。しかし、現実を切り取り、積み重ねていくドキュメンタリーという形だからこそ、逆に強く訴えるものがあるのです。欽ちゃんの情熱が浮彫りになるんです。

前述の通り、その発想はやはり時代遅れな感が拭えず、結果として目標の視聴率も取れませんでした。

けれど、降って湧いたようなこのミッションに嬉々として取り組み、とことん情熱を注ぐのです。なんとか良いものを作り上げたいという思い、そしてそのために考えて悩んで苦しむ、そんな情熱が全編に溢れているのです。

一つ事に、それほどまでに情熱を注ぎ、脳が溶けるほどまで考え抜いた事って、最近ありましたか?
この欽ちゃんの仕事に取り組む姿勢は、テレビの番組作りだけでなく、たとえどんな仕事であっても結局同じなんじゃないかなって思ったんです。もちろん、ビジネスのみならず日々の生活でも、です。

ラスト近くのシーン、車中で残念な視聴率の報告を聞いた欽ちゃんは、笑うわけでもなく落ち込むわけでもなく、次を見つめた強い表情を浮かべます。
印象的です。


萩本欽一とはその年でまだこれだけの情熱があるのか、と、この映画を見て愕然としました。

あれこれ理屈を捏ねるのは簡単な事です。
しかし、思い描いた理想に向けて走り続けるというのは並大抵ではありません。
しかも、欽ちゃん、76ですよ。


凄いです。
敵わないです。

一度きりの人生、そこまで熱くなれる物が、絶対欲しくなる、そんな映画です。

We Love Television?

We Love Television?

  • 土屋敏男
  • 日本映画
  • ¥2000